少し、栄養や食事などに詳しい方であれば、1度は聞いたことがあるであろう「アミノ酸」。
アミノ酸=タンパク質?
アミノ酸はダイエットにいい?
など、言葉は知っているけど、実際に詳しいことは知らないというかも多いのではないでしょうか?
ただ、単にアミノ酸が良いと言われているから摂取しているという方もいますが、それでは勿体ないです。
ここでは、そんなアミノ酸にまつわる知識や栄養の基本についてまとめてみました。
参考にしてみてください。
目次
知っておきたい栄養の基本
日常生活であふれている話題で、知っている方も多いと思いますが、ここでは再確認の意味で簡単に栄養の基本についてご紹介したいと思います。
アミノ酸について知るには、まず基本的な栄養のことを知らなければ意味がありません。
五大栄養素とは
脂質、炭水化物、タンパク質、無機質、ビタミンの5つです。
時に、この5つに追加して水と食物繊維が入ることがあります。
これを“六大栄養素”と呼ばれています。また、“三大栄養素“と呼ばれているものは、エネルギー源となる脂質、炭水化物、タンパク質の3つです。
これら5つを過剰にならないように、また足りなくならないように摂取する事が望ましとされています。
同時に現代の日本人に必要なで改善しなくてはいけない3つの課題として
- 脂肪分を減らす
- カルシウム量を増やす
- 食物繊維量を増やす
ことが挙げられています。
バランスのとれた栄養とは
エネルギーとなる脂質・炭水化物、身体の構成・維持となる炭水化物・タンパク質、身体の保全・働きとなる無機質・ビタミンが重複・合算して身体を作っています。
五大栄養素をさらに細かく見ていくと、1群~6群に分かられて、より具体的になります。
1群
良質タンパク質供給源で、タンパク質に富んだ食品が属します。
肉、魚、卵、豆腐、大豆などが代表的なものです。
2群
カルシウム供給源で、主にタンパク質源になる食品群が属します。
牛乳、ニーズ、小魚、アイスなどが代表的です。
3群
カロテン供給源で、ビタミン・ミネラル源となる食品群が属します。
緑黄色野菜のカボチャ、ニンジン、ほうれん草、ピーマンなどが代表的なものです。
4群
ビタミンCとミネラル供給源で、痰黄色野菜が属します。
大根、きゅうり、キャベツ、苺、りんご、レモンなどが代表的なものです。
5群
糖質性エネルギー供給源で、エネルギー源となる主食が属します。
穀類、芋類、砂糖、パン、パスタなどが代表的なものです。
6群
脂肪性エネルギー供給源で、油脂類が属します。
マヨネーズ、ドレッシング、サラダ油、マーガリンなどが代表的なものです。
アミノ酸とはどんなもの?
上記の栄養のことを踏まえて、今度はアミノ酸について細かく解説していきます。
日常生活のあちこちで、“アミノ酸”という言葉をよく聞くようになりましたよね?
また、成分配合や宣伝、効用等にも“アミノ酸入り”と明記されている商品すら存在する時代です。
サプリメントや美容以外にも化粧品にも含まれ、アミノ酸の活躍・用度は多種多様ともなっています。
三大栄養素の“タンパク質”に属するアミノ酸
アミノ酸は三大栄養素の属する1つです。
三大栄養素とは
- 脂質(脂肪)
- 炭水化物(糖質+食物繊維)
- タンパク質
に分かれています。
タンパク質はさらに単純タンパク質・複合タンパク質・誘導タンパク質に分かれていますが、アミノ酸はこのタンパク質が人の身体の中で他の物質から変化して作られてものに当たります。
アミノ酸も元々は、タンパク質だということです。
アミノ酸・タンパク質の役割
タンパク質は動植物細胞の原形質の主成分であり、人体では筋肉・血液・髪・爪等のほとんどが、タンパク質から構成されています。
タンパク質以外に、水も構成要素になっています。
よって、細胞の源であり、人の活動エネルギーにもなっています。
中には、「プロテインも大切だよね?同じ役割だと聞いたよ」等、プロテインも含まれると思っていらっしゃる方もいます。
これもごもっともであり、元来タンパク質とは、卵白の意味で英語の「protein」は、「第一に必要なもの」という意味です。
タンパク質の食事摂取規準 男女比 一覧表
年齢 | 男性(g) | 女性(g) |
0~5ヵ月 母乳栄養児 人工栄養児 | 10 15 | 10 15 |
6~11ヵ月 母乳栄養児 人工栄養児 | 15 20 | 15 20 |
1~2歳 | 20 | 20 |
3~5歳 | 25 | 25 |
6~7歳 | 35 | 35 |
8~9歳 | 40 | 40 |
10~11歳 | 50 | 50 |
12~14歳 | 60 | 55 |
15~17歳 | 65 | 50 |
18~29歳 | 60 | 50 |
30~49歳 | 60 | 50 |
50~69歳 | 60 | 50 |
70歳以上 | 60 | 50 |
妊婦 | +10 | |
授乳婦 | +20 |
上記はあくまでも、目安になります。
体重や活動量などによってもかなり変わってきます。
最低限摂取した方がいい量と考えればいいかなと思います。
筋トレしている方であれば、上記のタンパク質の量では少なすぎますからね。
必須アミノ酸とは
アミノ酸でも体内では作られないものがあります。
作られても必要量まで満たされてないのが現状となっています。
それが、必須アミノ酸と呼ばれているもで、食物から摂取しなくてはいけません。
この必須アミノ酸を摂取する事で、骨格が脂肪や糖質の中間代謝産物となります。
よって、体内で身体が必要とする大切な基本ベースともなるものです。
必須アミノ酸は9種類あり、
- ヒスチジン
- トリプトファン
- フェニルアラニン
- リジン
- イソロイシン
- ロイシン
- バリン
- スレオニン
- メチオニン
この9つです。
その他のアミノ酸と小児の必須アミノ酸(参考までに)
上記で、栄養に不可欠な必須アミノ酸を書きました。
アミノ酸は先ほどの必須アミノ酸の9種類と、体内で作り出すことができる「非必須アミノ酸」が11種類で、全部で20種類あると言われています。
その中でも、やはり多くは必須アミノ酸について述べられています。
必須アミノ酸9種類以外の非必須アミノ酸は、
- セリン
- チロシン
- アスパラギン
- グルタミン
- アスパラギン酸
- グルタミン酸
- アルギニン
- グリシン
- アラニン
- システイン
- プロリン
この11種類です。
また、小児(子ども)では9種類の必須アミノ酸に加えて、“アルギニン”が生成されないので、合計10種類が子どもの必須アミノ酸と言われています。
必須アミノ酸を含むのは1群
体内で作られない必須アミノ酸を摂取するには、1群が勧められています。
特に、卵と牛乳は手軽で調理範囲も広く、どこでも買える便利さから摂取しやすい食材となっています。
中には、アレルギーの方もいらっしゃると思うので、卵・牛乳以外に必須アミノ酸が摂れるものを下記に挙げます。
母乳、牛肉、あじ、いわい、さば、たら、まぐろがアミノ酸スコアの高い食品となっています。
こちらに詳しくアミノ酸スコアは書いてあるので参考にしてください。
この他に精白米、強力粉、大豆、落花生、そば、とうもろこし、さつま芋、じゃがいもがありますが、これらは必須アミノ酸の9種類中、一部が不足しているものといった食品となっています。
アミノ酸代謝について
アミノ酸を摂取する事で、身体の基盤となる筋肉や血液等に活躍している他、代謝する事で身体に必要な産生や新生、合成という大切な役割を担っています。
アミノ酸の一般代謝
アミノ酸は、糖質・脂質と違って“アミノ基(-NH2)”をもっていて、その代謝はアミノ基がアンモニアとして、除かれることから始まります。
代謝の特徴として
- ①糖源性アミノ酸(糖に変換するアミノ酸で、炭素骨格が糖質になる特徴)
- ②ケト源性アミノ酸(ケトン体に変換するアミノ酸で、脂肪酸やケトン体になる特徴)
に分かれています。
この双方の代謝過程で、全てのアミノ酸ではないですが、炭素骨格が糖あるいはケトン体に組み込まれるものがあります。
炭素骨格の代謝
非必須アミノ酸は、糖質の炭素(C)を使ってアミノ酸の炭素骨格を合成することができます。
また、上記の一般代謝の糖源性アミノ酸と、ケト源性アミノ酸も代謝として使われています。
さらに3パターンの役割を担っています。
その3つは
- 一連の科学的反応サイクルの基質となって必要エネルギーを産生する
- 糖新生系に入ってブドウ糖を新生する
- 脂肪酸合成系で脂肪酸を合成する
という役割をもっています。
肝臓によるアミノ酸代謝
アミノ酸をタンパク質やブドウ糖に合成したり、アンモニアを解毒したりと重要な肝臓の役目の他に、アミノ酸代謝も行っています。
アミノ酸を合成したり分解、非タンパク性窒素含有物質を生成したりしています。
よって、食事摂取できない時に、直ぐに急変・重篤に陥らないことも多々あり助かっています(これは疾患や治療中の方ではなく、一般的な健康な方です)。
アミノ酸代謝と先天性代謝異常症
生まれて間もない赤ちゃんの検査項目にもなっている有名なものも、ここに属します。
先天性代謝異常の多くは、酵素の異常によって引き起こされる病気です。その酵素によって、病態や症状が変わってきます。
分類は2つに分けられており、簡単にそれぞれの病名と症状を紹介していきます。
先天性アミノ酸代謝異常
- フェニルケトン尿症…知能障害、痙攣、白い皮膚。
- チロシン症…肝脾腫、クル病、肝硬変。
- 先天性白皮症メープルシロップ尿症…白い皮膚、白髪、痙攣、メープルシロップ様の臭気、脳障害。
- ホモシスチン尿症…水晶体変位、痙攣、知能障害。
- シスタチオン尿症…知能障害。
- ヒスチジン症…言語発達遅延、知能障害。
尿素サイクル異常
- 高アンモニア血症Ⅰ…嘔吐、意識障害、知能障害。
- 高アンモニア血症Ⅱ…嘔吐、意識障害、知能障害。
- その他の尿素サイクルの酵素異常…神経障害。
現在、上記の病気は数少ない例となっています。
この背景には、赤ちゃんの検査によって早期発見できていることが大きいです。
また、仮に病気が見つかった時は、早期治療や症状発現の予防に繋がっており、後遺症や継続する病気が激減しているのが現状です。
知っておきたい人体へのタンパク質やアミノ酸の役割
アミノ酸に関連して、身体の機能・維持という大切な働きがある事をおさらいしたいと思います。
食事以外にも休養・睡眠や運動なども必要となっていますが、役割を知る事でいかに食事も大切な要素であるという事を再確認していただけたらと思います。
筋肉の役割
人の筋肉は大小400あまりの筋肉があり、各部位で協調しながら運動を行っています。
筋肉は骨に付着しており、自分の意志によって動かす事が可能で自由自在に目的を果たす事ができます(これを骨格筋と呼びます)。
このようにできるのは、筋肉が収縮する事によって関節が動くからです。
また、意思とは逆に無意識で動いている筋肉も存在しています。
それは、心臓の筋肉(これを心筋と呼びます)で、生命を司るにあたって重要な筋肉です。
血液の役割
成人の体重の約1/12が、血液の量と言われています。
全身に流れており、代表的な栄養を送り届ける以外にも大切な役割を果たしています。
その役割は、大きく分けて5つあります。
物質の運搬
酸素や二酸化炭素の他にも、栄養素、ホルモンの運搬、各組織の代謝産物・老廃物も運搬しています。
感染防御、免疫
体内に侵入してきたウイルス等を貪食(身体にとって悪いものを標的として食べる)する働きをもっています。
また、罹患してしまったものを“抗体”として免疫をつけ、身体を丈夫にしていきます。
止血凝固
何らかの理由で出血した場合、体内・体外の双方で自ら血を止める働きをもっています。
この働きによって、大量出血というものから守られています。
体温調節・体温の維持
暑い時は血管を広げて、熱を放散させています。
逆に寒い時は、血管を縮めて産熱量の増加を図り調整しています。
酸塩基平衡の維持(暖衝機構)
血液成分の1つである血漿のpHは7.4±0.05と決まっています。
この数値が変動すると、人は酵素活性が低下して代謝が円滑に行われなくなります。
この働きを損なわないように、血液が役割を果たしています。
食事以外でのアミノ酸摂取方法とは
アミノ酸というか、タンパク質を上手に摂取するには1番は食事からです。
しかし、食事から摂取できない方もいると思います。
中心静脈栄養法
鎖骨下静脈に穿刺して、カテーテルを挿入・留置する方法です。
高濃度の輸液を投与する事ができ、且つ長期の栄養管理を可能なものです。
適応となるのは、腸管の閉塞、吸収障害、腸管の安静を必要とする場合、厳密な水分・電解質・代謝管理を必要とする場合になっています。
利点として、管理がしやすい、高エネルギー・高濃度の栄養素を投与できる事です。
欠点としては、穿刺、カテーテルの管理が簡単ではない事です。
穿刺は医師が実施し、管理は看護師が実施する事がほとんどです。
経腸栄養法
消化管(胃、十二指腸、空腸)にカテーテルを入れて、直接、栄養を供給する方法です。
経口摂取が困難でも、消化管が使用できると判断されれば経腸栄養が考慮されます。
適応となるのは、咀嚼(噛む・噛み砕く)と嚥下(咀嚼した物を飲み込む)ができない場合、上部消化管の通過ができない(例えば食道ガン)、外科領域の術前・術後(例えば胃切除)の場合になります。
利点として、手数がかからず管理が比較的、簡単な事です。
欠点としては、下痢・腹痛を起こす場合がある事です。
この場合、使用する栄養を変えたり、注入速度を変えたりして、様子を観察して考慮していきます。
それ以外の摂取法
上記の摂取方法は、あくまでも持病がある方や、何かしら病気の方が病院などで、アミノ酸を摂取する方法です。
病気などでない場合は、食事からを基本として、アミノ酸のサプリメントなどを活用するものいいでしょう。
サプリメントであれば、プロテインでもいいですし、他のアミノ酸が含まれてるサプリメントでもいいです。
まとめ
アミノ酸は、体内になくてはならない栄養素です。
筋肉を成長させるためにも必要な栄養素ですし、健康にいるためにも必要な栄養素です。
常日頃から、あまりアミノ酸の元であるタンパク質の摂取量が少ない方は、少し意識してタンパク質を摂取してみてください。