筋トレでメニューを組む際にトレーニングメニューとは別に
「高重量、低重量の筋トレは、どっちが効果的なの?」
と思ったことはありませんか?永遠のテーマではありますが、実は筋肉を大きくするという意味では、高重量、低重量どちらも効果があります。
しかし、効率よくマッチョな体を作るために、どのような重量でトレーニングをすればいいのか気になりますよね。
そこでこの記事では筋トレを行う際の高重量、低重量でやるメリット、デメリットや結局どちらがおすすめなのかを紹介します。
目次
そもそも高重量と低重量の定義とは?
そもそも筋トレにおける高重量、低重量の定義ですが、一般的に
- 最大重量の90~100%⇒高重量
- 最大重量の80~89%⇒高重量と低重量の中間
- 最大重量の60~79%⇒低重量
と考えます。
重量とセットで考えるのが、扱う回数(レップ数)です。
高重量は低レップ 低重量は高レップで、トレーニングを行います。
人によって重量の扱いは変わる
例えば、同じ「100kg」という重量でも高重量か低重量になるかは人によって違います。
100kgを1回上げられる人は、90kg~100kgが高重量。
100kgを10回上げられる人は、112kg~125kgが高重量になります。
自分にとって、どこからが高重量で、どこまでが低重量になるのかを知ると、トレーニングの効率も上がり怪我もしにくくなるので、「自分に合った重量」を知っておく必要があります。
自分に合った重量は、筋量、筋力の違い、種目の部位、体重、年齢、体調…など様々な要素で決まりますが、自分に合った重量を決めるには「RM法」を用いたが方法を利用することが多いです。
自分に合った重量を決める「RM法」について
RM法とは、「レペティション・マキシム」(repetition maximum)を略した用語です。
1RMとは「一回だけ上げることのできる重量の大きさ」を表しています。
最大重量を1回上げることで測定でき、同様に10RMは「最大10回しか上げられない重量」を表しています。
例えば、ベンチプレスをするとき、50kgのバーベルを最大10回反復できたとします。
この場合、ベンチプレスの10RMは50kgである。という考え方がRM法です。
1RMは重量と回数で求めることができるので、最大重量を上げなくても、1RMを測定することができます。
それをまとめたものを「RM換算表」です。
こちらに一覧が載っています。
ただ、RM換算表がなくても計算で求めることもでき、RMの求め方は下記の計算方法です。
「1RM =重量 ÷ 40 × 回数 + 重量」~「重量 ÷ 33.3 × 回数 + 重量」
この式を見ても分かるようにRMの数値には幅が出てしまいます。
つまり、RMは、あくまでも目安の考え方。
ただ、この考え方を使えば、「ベンチプレスで100㎏を上げたい」という目標を立てたとき、100㎏を上げなくても80㎏を「10回上げられれば100㎏も1回は上げられる」と考えることができるのです。
1RMを最大重量以外で測定するときは、おおよその最大重量を自分で見当つけます。(自分で見当をつけたRMの70~85%)
この重量を、限界の回数まで持ち上げ、RMの求め方で計算したり、RM換算表を使えば、1RMを測定することができます。
RMをよく用いる種目
RMの考えは
- ベンチプレス
- バックプレス
- スクワット
- ハイクリーン
- デッドリフト
などのコンパウンド種目でよく使われています。
ちなみに、同じ1RMの測定でもスポーツの競技力向上目的でトレーニングをしている人は、競技の種目によって1RMの測定を変えることがあります。
例えば、筋力とパワーを必要とする競技の人は1RMの80~85%の回数を。
筋持久力を必要とする競技の人は1RMの70%の回数を測定するとより精度が上がります。
高重量のメリットとデメリット
筋トレの主な目的は
- 筋力向上
- パワー向上
- 筋肥大
- ケガ予防
など様々ありますが、それぞれの目的に応じて、高重量と低重量のトレーニングを使い分けていきます。
ただ、やはり筋トレをするからには重い重量を持ち上げたいですよね。
筋肥大に関しては、高重量でも低重量でも効果がありますが、高重量のメリット・デメリットは下記の通りです。
高重量のメリットは短時間で筋肥大を狙える
- 最大筋力
- パワー
- スピード
これらを向上させたいときは、高重量で行うと効果的です。
また、短時間で、筋肥大を狙うこともできます。
一日に何か所も鍛えるときやトレーニングの時間が少ない時でも各種目を高重量でトレーニングをすると時間効率も良いので効果的です。
また、高重量を扱うことで神経系などが発達しやすくなるので、パワーリフティングを目指している方にもおすすめです。
高重量のデメリットは初心者には不向き
高重量の1番のデメリットは初心者には向いていないこと。
高重量は扱いにくく、怪我をしやすいです。
高重量トレーニングでの怪我は一歩間違えると筋肉、特に関節を痛めてしまいます。
それに初心者が独学正しいフォームを身に着けるのは難しいですし、間違ったフォームで行うと必ず怪我をします。
高重量は正しいフォームが身についていないと扱えないので初心者にはおすすめできないのです。
もし、初心者の方で高重量を扱う場合は、高重量は体にかなりの負荷をかけるので、
- 必ず軽い重量でウォームアップをする
- 補助やセーフティーバーを用意して潰れても大丈夫な状態で行う
この2つは必ず徹底して守ることをおすすめします。
また、肘、腰、膝は特に痛めやすいので高重量を扱うトレーニングを行う場合は、サポーターを準備するとより良いです。
高重量におすすめの種目
コンパウンド系(多関節系)、コアエクササイズと呼ばれる種目(スクワット、パワークリーン、ベンチプレスなど)は、高重量でのトレーニングに適しています。
低重量のメリット・デメリット
高重量では短時間で筋肥大に効果があったり、逆に初心者にはあまりおすすめできないというデメリットがありました。
では低重量で行う場合はどうなのか。
主なメリットとデメリットはこちらです。
低重量のメリットは初心者でも怪我をしない扱いやすさ
低重量の最大のメリットは扱いやすさです。
低重量は負荷が小く、意識したとおりに扱えるので正しいフォームが身に付けやすいです。
高重量は、無理やり上げようとするのでフォームが崩れがちになりますが、低重量はフォームの確認、矯正には適しています。
そのため、怪我もしにくく安全です。
筋力をつけることでケガを予防したり、筋持久力を高めたいときに低重量の筋トレを取り入れる方が多いのはそのためです。
また、しっかり追い込むことで筋肥大にも効果的があります。
ボディビルやフィジークの大会のとき、舞台裏で参加者が低重量をたくさんの回数行っているのを見たことがありますか?
低重量をたくさん行うと一時的に筋肉が肥大し、これをパンプアップ(一時的に血液やリンパ液が筋肉内で増加する現象)と言います。
高重量でもパンプアップはしますが、低重量の方が短時間でパンプアップすることができるのです。
低重量のデメリットは筋力アップには向かない
高重量、低重量ともに筋肥大は可能ですが低重量では、筋力のアップには向いていません。
もちろん全く筋力は上がらないということはないですが、筋力向上を目的とするなら高重量の方が適しています。
また、低重量は高回数がセットの考え方になるので、トレーニングの時間がかかります。
短時間でトレーニングをしたいときは結構大変です。
高重量でも低重量でもトレーニングは集中が大事です。
低重量は長時間追い込まなければいけないので集中が続かない人は好きな音楽を聴いたり、帽子やフードをかぶって視野を狭くして集中力を上げるなど工夫が必要になります。
低重量におすすめの種目
低重量で行う種目はアイソリューション系(単関節系)の種目がメイン。
例えば脚を鍛えるとき、スクワットでは、多種の筋肉を鍛えてしまうので、レッグプレスのようにピンポイントに鍛えられる種目は、低重量に適しています。
腕なら、アームカールなどです。
ただ、最後に追い込みをかける意味では軽い重量のベンチプレスを活用するのもおすすめです。
ベンチプレスでは大胸筋の中部に主な負荷がかかります。
しかし、大胸筋の内側はまだ追い込むことが可能です。(内側にはまだ負荷がかかっていないので)
このとき、内側を鍛えたいとき、大胸筋の主要面積である中部は潰れてしまっています。
なので、大胸筋の内側を高重量で追い込むことは難しくなります。
でも、ベンチプレスの重量を落として低重量ならまだ追い込むことができるので、低重量を高回数行うことで結果的に胸全体に高負荷をかけることができるのです。
結論:中級者以上なら高重量がおすすめ!
高重量、低重量ともにメリットとデメリットを紹介しましたが、結論から言えば「中級者なら高重量がおすすめ」です。
やはり、低重量の場合は時間がかかりますし、筋肉に与える負荷を考えると高重量には及びません。(低重量がダメといってるわけでない)
なので、ある程度筋トレ経験もある中級者以上の方はできるだけ高重量を扱ってメニューを組んだ方が個人的には良いと思います。
ただ、初心者の場合は高重量を扱うことで怪我をする恐れがあるので、まずは低重量でやってフォームなどを固めてから高重量にシフトチェンジしていくのがいいかと。
ここからは僕の経験からの推測になりますが、今まで筋トレをしてきましたけど、低重量でも筋肉が発達する人はまず筋トレが美味い人で上級者以上の方々に多い印象あります。
「今この動きをしているからここの筋肉を鍛えていて刺激できている」
こんなことを直感でわかる人って正直どんな重量でやっても筋肉は発達するんですよね。
なので、初心者じゃない方でもある程度は上級者になれば低重量でもありかなとは思います。
ただ、それまでは高重量を上手に活用した方が効率は良いと思っているので、まだその域に行ってない方は(僕も)高重量をメインに組むことをおすすめします。
筋肥大のためのトレーニング例
筋肥大に関しては、高重量でも低重量でも良いですが、最も効率が良いといわれているのが、コンパウンドとアイソレーション種目を組み合わせること。
基本的には、最初の種目に高重量を扱えるコンパウンド系の種目からはじめていきます。
主要部位の胸、肩、背中、脚の4部位についてどんな種目をやればいいのか紹介しますね。
コンパウンドの場合はMAXのRMから6~8レップになる重量でやりましよう。(100kgなら約82.5kg~87.5kg)
胸のトレーニング
主要部位の中部をベンチプレスで追い込み、内側、胸の端を低重量で鍛えます。
種目の順番は、上から
- ベンチプレス→フライ(ダンベルかマシン)
- ケーブルクロス
- インクラインベンチプレス
この順番にやりましょう。
マシンやケーブルを使うとき(特にケーブル)は、レップ数を15まで上げてやるとより追い込むことができます。
肩のトレーニング
最初にショルダープレスをしてから、三角筋(フロント、サイド、リア)を低重量で鍛えます。
種目の順番は、上から
- ショルダープレス
- リアレイズ
- サイドレイズ
- フロントレイズ
- アップライトロウ
この順番にやりましょう。
ケーブル、マシンがある場合は低重量の種目のセット数を減らして、生まれた余力でケーブルクロスやリアデルトフライを10~15レップで3セットくらいやるのも効果的です。
背中のトレーニング
背中は、広背筋と僧帽筋(中部、下部)の大きな2種類の筋肉のどちらに意識するのかを決めます。
肩を下げて脇を引くと、広背筋に入りやすくなり、肩甲骨を寄せる動きは、僧帽筋に入りやすくなります。
ダンベルやバーベルのみで行う場合は
- ベントオーバーローイング
- デットリフト
- ワンハンドローイング
- シュラッグ
マシンが使える場合は
チンニングからはじめ、前半にラットプルダウンをはさみます。
脚のトレーニング
ダンベルやバーベルのみで行う場合は
- スクワット
- ランジ
- カーフレイズ
を行います。
マシンも使える場合は
- レッグプレス
- レッグエクステンション
- レッグカール
を間にはさみます。
どの部位にも当てはまることですが、マシンを使う方がトレーニングの幅が広がります。
脚は筋量が多いので、各筋肉にピンポイントでトレーニングをすると、より筋肥大に効果が出てきますよ!
高重量や低重量でメニューを組む際の注意点
では最後に高重量や低重量でメニューを組む際の注意点をいくつか紹介します。
どちらでメニューを組んでも問題ありませんが、下記の4つのポイントを知るだけでも効率よく筋肉を鍛えることができるはずです。
定期的にメニューを見直す
筋肉は負荷を上げ続けないと成長しません。
- 重量
- セット数
- レップ数
- インターバル
これらの変化させて強度を上げていくことで筋肉はその負荷に耐えられる様に強化されていきます。
高重量でも低重量でも良いですが、筋肉の成長に応じて、重量、セット数、レップ数、インターバルを設定し直しましょう。
セット数とレップ(回数)を知る
上記の説明のように、筋肉に負荷がかかればトレーニングの効果が表れます。
ただ、高重量、低重量ともに目安のセット数、レップ数があるのでそれを知っていくことは大切です。
あくまでも目安ではありますが、参考にしてください。
筋力を上げることを目的とするときは、3~5RMの高負荷で、1~5レップ×2セット以上行い、インターバルは、長めに取ります。(5分くらい)
筋肥大を目的とするときは、6~12RMの負荷で、6~12レップ×3セット以上行います。レップ数は、潰れるまで行います。
インターバルは短めに取ります。(2~3分)
筋持久力を目的とするときは、12RM以上での負荷で限界までのレップを3セット以上行います。
このとき、動作は素早く行います。インターバルは短めです。(1分くらい)
表にまとめるのがこちらです。
筋力を上げる | 筋肥大 | 筋持久力 | |
推奨RM | 3~5RMの高負荷 | 6~12RMの負荷 | 12RM以上での負荷 |
重量のバランス
一種類の筋肉だけを鍛えるのではなく、バランスよくトレーニングをしましょう。
意識したいのは、前後の筋肉を鍛えることです。
例えば、前部の胸を鍛えるなら、同様に後部の背中も鍛える必要があります。
胸と背中では筋量が違うので1RMの重量差は出てしまいますが、胸をしっかり鍛えるなら、同じような負荷で背中も鍛えないと姿勢が悪くなってしまいます。
休息と栄養
筋トレをしたら筋肉がつく訳ではなく、筋トレ→栄養補給→休息の流れがあって初めて筋トレの効果が出ます。
栄養補給と休息も筋トレの一部であることを忘れずに!
特に高重量のトレーニング前後の糖質の摂取とタンパク質補給は必須です。
ダブルで摂取するようにしましょう。
まとめ
高重量は、最大重量の90~100%。低重量は最大重量の60~79%。
コアエクササイズなど、多くの関節を使ったトレーニングや、筋力、最大挙上量を上げたいときは高重量を扱う。
一か所だけの筋肉を狙ってトレーニングするとき、正しいフォームや筋肥大を目的とするときは、低重量を扱う。
まずはこれだけ覚えて貰っても問題ありません。
これを知るだけでも自分がどんな重量で筋トレを行っているのがわかるからです。
目的に応じて、トレーニングは変化します。自分の目的に合った、トレーニングをしていきましょう。